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野うさぎロリータ

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  これはパンクロリータ、という服の種類だそうだ。
 好きな役者さんが着ていたので、ちょっと真似してみた。
 わたしもミーハーだな、と自嘲しつつ。
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by suku-ru | 2012-04-23 18:48 | 画像 | Comments(0)

バス停

 坂の途中にあるバス停で、青年がバスの時刻表を見上げていた。
 じっと立っていると、まだ少し寒い春。だがもう日差しはその強さを増していて、眩しい。
 バス停の後ろにある団地には桜が微笑むように咲いている。その桜から、はらはらと花びらが舞い散って、彼の目の前をふわりと通り過ぎていく。
 彼は何気なくそれを目で追った。
 すると、その先の坂道に少女がいた。中学生くらいか。細い身体にボーイッシュな髪で、勝気そうな瞳が印象的だった。
「翔子、ちゃん?」
 彼は思わず、その少女の名を口にした。
 少女は無表情、いや、どちらかというと怒りにも似た表情で彼を睨みつけた。
「何であんたがここにいるの」
 低く押し殺した声でつぶやく。だがそれは彼には聞こえなかったようだ。
「え、何?」
 その間抜けな質問を、翔子と呼ばれた少女は無視し、スカートの裾を手で押さえながらベンチに座る。そしてすぐ、腕と足の両方を組んだ。何かを拒絶するような格好だ。
 青年はその態度に苦笑いを浮かべ、黙り込んだ。
 
 しばらくの間、舞い散る桜の花びらと時折通る車の音だけが時の流れを示した。

 少女は大きく息を吸い込んで、ゆっくりと吐いた。溜息だろうか。
 やがて、ハッキリと聞こえる声で言った。
「アキラさん」
 ビクッとする青年。どうやらアキラとは彼の名前らしい。
「え、何?」
 翔子は、先ほどと全く同じセリフを吐いた彼には一瞥もくれず、真っ直ぐ前を向いている。
「何で、今更、あなたが、ここに、いるんですか」
 一つ一つの言葉を強調するように切りながら話した。さながら詰問のようだった。
 アキラは鼻の頭をこすって、返答する。
「何でって……たまたま、かな……」
 翔子は吐き捨てるように言った。
「嘘つき、サイテー、バリキモ!」
 ちなみにバリキモとはバリバリキモいの略である。
 アキラはまた苦笑いを浮かべた。
「ば、バリキモって……ひでぇな」
 その言葉に翔子は反射的に立ち上がって、彼の方を向くと叫ぶように捲し立てた。
「だってそうじゃん! まだお姉ちゃんの事、あきらめらんないんでしょ! だからここに来たんでしょ! 違うの!?」
 その突然の勢いに圧され、息を呑むアキラ。やがて、その呑んだ息を吐くと、悲しげな表情になった。
「……翔子ちゃんは、あの頃から言ってたよな。俺とアイツの事なら何でも解るって……ホントだな」
 翔子の声は震えていた。
「もう……あれから一年だよ。わたしも中二だよ。何なの! お姉ちゃんだってもう別の人、好きなんだよ! 何なの、これ!?」
 翔子はもうほとんど泣いている。アキラはただ、悲しげな顔のまま、無言で俯いていた。
「あー、もう! 頭ぐちゃぐちゃだよ! わたしはわたしが嫌い! こんなのわたしじゃない! 何でよ! なんで今更……!」
 翔子はアキラの胸元に、体ごとぶつかった。彼は驚いた。
「えっ?!」
 慌てるアキラの胸を叩きながら、翔子は泣きじゃくる。
「嫌い、嫌い、嫌い……っ!」
 嗚咽しながら、言葉を続けた。
「うう、バカぁ、わたしのバカぁ……うう……」
 アキラの顔から驚きは消え、その表情は憂いを含んだものに変わった。
「そう、だったんだ……。翔子ちゃん、俺の事……」
「気付かなかったの! 気付くな! バカぁ!」
 その支離滅裂な言葉こそが彼女の気持ちなのだろう。
 アキラは何もせず、ただ立ち尽くす。
「ごめん……」
「謝んな!」
「うん……でも、ごめん」
「分かってる! 帰れ!」
 翔子はアキラを突き飛ばすように、腕を伸ばした。わずかによろけるアキラ。
「っと。うん。帰るよ、バスが来たらね」
 その悲しげな笑みを浮かべたアキラを、また睨みつける翔子の瞳はしかし、涙目で、顔も真っ赤だった。

 少し距離の開いた二人の間に、柔らかな風が吹いた。ひらりと桜が舞う。
 丁度その時、バスのエンジン音がした。バスが停まり、軽い空気音と共に後部ドアが開く。
 アキラはそのステップを昇ろうとして、翔子に声を掛けた。
「乗る?」
 翔子は顔を横に振った。
「そう。じゃあね」
「ふん」
 アキラはまた悲しげに笑うとステップを昇り、バスに乗り込んだ。ほどなくドアが閉まった。バスは警笛を鳴らすと、緩やかに走り出した。地に落ちていた花びらがまた、舞う。

 翔子はその桜の中へ消えて行くようなバスを見送った。
 泣くのを我慢するような、口元をギュッと結んだ顔で。
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by suku-ru | 2012-04-10 09:07 | 物語 | Comments(0)

気まぐれツインテール

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 気まぐれでツインテールにしてみた。 
 この髪型は妹ツンデレキャラの定番のようだが、たまにはわたしもやってみたかったんだ。
 似合うかな?
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by suku-ru | 2012-04-05 11:36 | 画像 | Comments(0)

しっぽ

 小春日和の昼下がり。公園のベンチに初老の男性が独り、腰掛けている。
 初老の男性、と書いたがそれは我々のよく知る“人間”ではない。トカゲと人の中間のような生物だ。この世界での人は、そのような姿をしている。誰もが皆、様々な長さと重さの尾を、後ろに垂らしながら生きている。

 その男の尾は太く大きく立派だった。そしてまた非常に重そうでもあった。
 男は虚ろな眼で、只、空を見上げていた。それは無情に時が過ぎて行く事にさえ、苦痛を感じなくなり、受け入れてしまっているというような瞳だった。

 そんな彼の元へ、元気そうな少女が真っ直ぐ駆け寄って来た。
 彼女のスカートの後ろにある隙間から、ちょこんと生えている小さな尾には、赤いリボンが揺れている。それは彼女が頭につけているものと同じだった。
 
 彼女はニコニコと男に話しかけた。
「おじちゃん、こんにちは!」
「あ? ……ああ、こんにちは」
 彼は我に返って、少女に眼を向けた。少女はキラキラと光る眼差しで彼を見た。
「おじちゃんのおしっぽは、大きいね。長いね。あたしのおしっぽは、こんなにちっちゃいのに」
「ああ……そうだね。私のしっぽは確かに見た目は立派だね。でも重くて硬くて、走る事もできなくなってしまった。自由に動かす事もできないよ」
 少女は納得したように大きく頷く。
「そっかー。だから、ずーっとここで、座ってるんだね、朝にもここにいたもんね」
「ああ、そうだよ。最初は、ここにいるのが嫌だったけど、今はもう慣れた」  
「ふーん……」
 少女は眉根を寄せて何か考える。そして閃いたように手を叩いた。
「あ、じゃあ、おしっぽ、切っちゃえばいいんじゃない?その気になれば、いつでも切れるって、お向かいのおじちゃんに聞いたよ。切れば、また生えるんだって」
 その少女の、とてもいい事を思いついたという顔に、男は笑って答えた。
「ははは。そうだね、その気になればいつでも切れるけど」
「けど?」
「もの凄く痛いんだ」
「そうなんだ。痛いのは嫌だね」
 少女は顔を曇らせた。男は言葉を続ける。
「それにね」
「それに?」
「再生したしっぽにはもう、骨がなくなるんだよ」
 少女は頭を傾げた。
「痛いのは怖いけど、骨がなくなるのも怖いの?」
「うん、怖いね。とっても怖い。この重さ、長さは骨があるから、意味があるんだ」
「ふ-ん?」
 彼女は良く解らないという顔で返事をする。
「でも、それでも、お向かいのおじちゃんは、しっぽを切って凄く楽しそうだったよ? スキップしてた」
「そうかい。でも本当は、痛さを隠そうとして無理矢理、楽しそうにしているのかも知れないよ」
「えー? そうなのかなぁ」
 男は寂しそうな笑顔で地面を見た。
「それに私には、その人みたいに、しっぽを切って捨てちゃう勇気はないんだよ。痛さに、怖さに耐えられそうもないから」
「そっか……。誰でも痛いの、嫌だもんね」
 男は顔を上げて、少女を見つめた。
「お嬢ちゃんも、いつかしっぽを切りたくなる時が来るかもしれないけど、その時はよく考えてから、決めるんだよ」
 彼女はニッコリと笑って答えた。
「はーい。でも、あたしには、そんな時は来ないと思うよ。だって、あたし、自分のおしっぽ、大好きだもん」
 少女はお尻をちょっと男のほうに向けて、その愛らしい尾を男に見せると、すぐにはにかんで笑った。
「へへへ。可愛いでしょ?」
 男は少女を眩しそうな眼で見た。
「うん、うん。そうか、そうか。大好きなんだね」 
「うん! 大好き! あっ、もう夕方だ。じゃあまたね! おじちゃん!」
 少女は大きく手を振って、街の方へ駈け出していった。ここへ来た時と同じように真っ直ぐに。
「ああ、じゃあ……」
 男は聞こえるかどうかの呟きと共に、軽く手を上げた。
 
 少女が見えなくなると、男はまた、顔を空へ向けた。
 茜色を帯び始めた世界は、その温度を急速に下げていく。
 男は眼を閉じた。時の狭間に漂うように、ゆっくりと。
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by suku-ru | 2012-04-02 11:08 | 物語 | Comments(0)